限定制作の中止
現行プロジェクト終了後、限定制作のプロジェクトを実施する予定でした。限定制作とは、毎回異なるデザインの靴を数足ずつ制作することを指します。
現行プロジェクトでは、プレーントゥだけを制作し、モデル数を絞ることで、売価を抑えています。そのため、限定制作のプロジェクトでは、現行プロジェクトよりも売価が高くなります。
この値上がり分の見積もりが、当初よりも大きくなりました。
ロリス・ローゼンミュラーは、ルールやドレスコードを守るための靴ではなく、いわば、自分を解放するための靴です。オフィスや冠婚葬祭へ行くための靴ではなく、旅に出るための靴です。つまり、革ジャンのようなものです。
したがって、作り手は、傷をつけまくって履かれることを想定しています。
多くの靴職人は履き潰されるのを嫌います。ですが、ロリス・ローゼンミュラーの作り手は「履き潰せるなら、履き潰してみろ」くらいに思っているはずです。
高額になるほど、傷や皺、汚れが気になるものです。履き潰す勢いで履いていただくためには、あまりに高額な売価は許容されません。
しかしながら、新たな見積もりにより、限定制作では許容できる売価を実現するのは不可能と判断されました。
そのため、限定制作の計画を中止します。
プレーントゥ以外の靴を得る方法として、限定制作のプロジェクトに期待していた方もいらっしゃると思います。ご期待に沿えず、本当に申し訳ございません。
私たちの目的は、皆様に一過的な喜びを与えることではなく、皆様の生活の質を変えることです。
何かを気にしながら履かれ、その結果として「高年俸の控え要員」になるものを売るわけにはいきません。全試合出場して最高のパフォーマンスを発揮するものだけを売ります。
為替等の要因により、プロジェクトを続けるのは困難と言わざるを得ませんが、なんとか乗り越え、一日でも長く日本の皆様へ販売できるように努めます。
Elmar Blon, Gießbach München